Aran Sweatersアラン島のセーター
昼間はまだまだ暑かったりでなかなか夏の服を片付けられないですね。
これは暑がりの私だけでしょうか。
夫はもう1週間前くらいからセーターを着ています。
確かに、夜には冷え込んで、私はそろそろ糸をひこずり出して編み物でもしようかな、の心境になっています。
アランセーターはお好きですか?
私はちょっとカジュアルすぎて、という感がありますが。
アラン島とはアイルランドの西、ゴールウェー湾口にある3つの島です。
漁業が中心のこの島では、漁に出る男たちのために女たちがこの島で取れた羊毛を染めないで、脂も抜かないままに素朴なセーターを編み上げていました。
それが彼らの伝統。
彼女たちは各自が「我が家」の網目模様を持っているのです。
女房殿の温かい思いやりに包まれ、男たちは今日も荒海に乗り出す・・・そんな姿が目に浮かびませんか?
シングの名作「海に乗り出すものRiders to the Sea」はまさしくこの島が舞台であるといわれています。
シングはこの島に滞在中、潮来一枚下は地獄、という厳しい生活、溺死、女たちの悲鳴を実際に見聞きしたそうです。
たまさか、大しけにあい船が転覆し、長いことかかってやっと死体が上がってくると、もうさんざんに魚につつかれ外見や容貌で区別がつかない時も、妻は夫が着衣しているそのセーターの網目を見てすぐに夫の胸に縋り付きさめざめと泣きだす、というようなシーン。
アイスランドの漁師の家庭でもそんな海での事故は日常茶飯事のことで、以前、その国に友人がいたのですが、彼女の話ではたいていの家庭では誰かを漁で、海で亡くしている、彼女も夫を亡くした、と言っていました。それがたんたんと語られたもので、私はアイスランドの人たちって冷たいのだろうか、と思ってしまったのですが、そんな自然の中で生きて行かねば人たちという事で現実を受け入れているだけなのでしょう。
北の海の漁って本当に過酷何だなあ、と思ったものです。
現在このアランセーターは、アイルランドを旅行するとちょっとしたホテルの売店にも陳列してあり比較的容易に手に入るようですよ。
私はアイスランドに旅した時、2着現地のものを買い求めました。
ヨーロッパの人たちって大きいから、小さいサイズがバーゲンになっていて私にはラッキーでした。
糸はノルウェーのセーターもそうですが、日本のウールには比べられられません。
アイスランドの糸は張りがあって少し硬い感じがします。
ノルウェーのもですがいつまでたっても毛玉ができないですよ。
一度、義兄のお嫁さんのお古のカーディガンを娘用にもらったことがあるのですが、相当年季が入っていたなあ。
だって、彼女が幼かった時に彼女のお母さんが手編みしたものでしたので。
2色の糸を編み込んだノルウェー伝統のものでした。伝統的な編み込み模様に伝統的なブロンズのボタンが付けてあって。私も気に入っていたカーディガンでした。
ノルウェーのセーターって編み込んである分、暖かですよ。