ろうそくの灯りで食事
今、北ノルウェーでは毎日真っ暗な日々が続いていると思います。
南ノルウェーにある首都、オスロでさえ明るくなるのは10時過ぎ、そして昼2時過ぎには再び真っ暗な世界になります。
そんな暗い季節だからこそ、人々は伝統的に家の中を美しさの中に明るさを見せようとするのでしょうか。
ダイニングルームには美しいシャンデリアが輝いているのに、そんなものを消してしまって彼らは食事をするのです。
いや、真っ暗な中でも、それはシャンデリアよりも家の中を輝かしく美しく見せるのかもしれませんね。
キャンドルです。
クリスタルの一つ一つが本当にキラキラしだしますもの。
キャンドルの明りだけで食事をするのです。
わたしにとってはそれは単に薄暗い世界だと思えたのです。
それになれない時は、私は目に悪いとも思ってしまいました。
ノルウェーに住みだして、しばらくするとやはりキャンドルの明りだけの食事と言うのはノルウェーの伝統だと悟りました。
朝ごはんのテーブルにもキャンドルを付けます。
キャンドルスタンド、その飾り、キャンドルスタンドの種類、キャンドルの大きさ、長短、色、形、などなどと書いていればえんえんと続くだろうと思ってしまいます。
お店に行くとさまざまなキャンドルを売っています。
家でもいつも様々なのを常備しています。
日本で同じようなことをしても何かがマッチしない、おまけに物が多すぎて危ないのでは、と思ってしまいました。
キャンドルの灯を消す道具もあります。
年季の入ったベル型の飾りが一つ一つキャンドルを消していく姿は優雅です。
それから、灯りを例えて「蛍の光、窓の雪」と言う歌の文言があったけど、なるほど言えてる、と思ったことがありました。
全部明かりを消しても、外に日光がなくても、辺り一面の雪世界の中、道やら隣の家など、ちゃんと見えました。
北ノルウェー、北極圏内に住んだ時にはキャンドルは必需品になりました。
そこには半年だけ、しかもクリスマス前にはオスロに帰ったのですが、それでもそんな経験を2,3回しました。
雪吹雪、嵐になるとどこかで電線が切れて電気がアウトで何時間も外も中も真っ暗になるのです。
暖房もそうなるとまきと油を焚いているストーブだけ。
料理もできないし何もできないお手上げ状態でした。
そんな猛烈に寒い日こそもっとヒーターを付けないと、と言った状態だったのに。
朝から電気はアウトでやっと夕方4時とかに戻ったり・・・でした。
ノルウェーの人たちって数代前はそんな真っ暗な世界で暮らしていたんだから灯りの文化があるのは当然、と思いました。