breath-taking view 息をのむ景色
どこかに旅してそこがこの世のものとは思えなかったような経験、ありますか?
私にとってはベニスがその最たるものだったと思います。
ベニスに初めて旅したのは50年ほど前のことです。
まずは外海からこの街を眺めた(フェリーでそこに渡ったので)、というわけですが、この記事のタイトル通り息をのむ景色が目の前に広がっていました。
海外に初めて旅した時、様々なものに目を見張らされることになったのですが、ベニスの美しさは群を抜いていたと思います。
一つには、その日の海の青さと街のコントラストの美しさだったと思います。
あの青い海の中に街が建っているなんて・・・と思ったのです。
それに何度も絵ハガキなどで目にしていた建物、景色を前にした、ということも私が非情に感激した理由だと思います。
街の中には車は走っていません。
細い運河をゴンドラで行くか自分の足で一つ一つ、小さな橋を渡って目的地に行かねばなりませんでした。
ベニスは「アドリア海の花嫁」と呼ばれ大小118の島々からなるそうです。
で、橋の数は何と400。
町の中央をS字に大運河が走っており、そこから縦横に走る160の細かい運河ですべては結ばれているそうです。
家の前には水中から突き出しているパラという柱に船をつなぐものがあるそうです。
町内に車は1台もないとか。
バスはあるのだけど、これは乗り合い船のことです。
ちょうど今、中学2年生の英語の教科書で彼らは「世界遺産」について学んでいるのですが、この乗り合い船は観光客でいつもいっぱい、混雑していてそこの住人は困っている、と載っています。
ベニスが都市として発生したのは5世紀ころで、フン族、ロンゴバルド族の相次ぐ侵入・略奪から逃れるため陸上の島に流れ込んだ・・・これが始まりだそうです。
6世紀末には12の島に村落が見られるようになり、そのころからリアルト島が常に中心になっていったとか。
ここにかかる橋、大理石の橋、Rialto橋がこの街の橋では一番有名なのだと思いますが、穏やかな弧を描く橋の上は建物になっていてずらりと店が並んでいます。
W・シェークスピアの『ベニスの商人』でも何度も言及されている橋です。
残念なのはこの街には年毎に増えている観光客が押しよせ様々な環境破壊が起こっている事。
そこに立つあの美しい街並みが沈みつつあるそうです。
私が再びベニスを訪れたのは10年くらい前でしたでしょうか。
なぜかあの「美しさの感動」は残念ながらもうありませんでした。
ツアーだったのであたふたとメインの所だけ歩いたということからでしょうか、分かりません。
ゴンドラには乗れました。
ゆっくり、ゆっくりゴンドラは進みましたので街並みをじっくり見る事ができました。
でも、やはり街は色あせて見えていました。
公害の影響もあるのでしょう。
守るべき世界遺産ですよね。