eye for eye, tooth for tooth目には目を歯には歯を
ハムラビ法典のことですが、いつもより長い記事になりそうです。
ハムラビ法典のことは歴史の教科で習いましたよね。
しかし、それはアラブにおいて過去の歴史の中で存在したものだと私は思っていました。
結婚前、仕事先の生き帰り、図書館がその行程の中にあったので、私は毎日のようにそこに立ち寄っては本を借りていました。
その時、読んだ本の1冊がエジプトの風習についてのものだったのです。
ハムラビ法典の法がまだ生きているのだ、というような内容もふむふむといった具合でそのまま読み進んだだけでした。
それから、数年後、私は夫とモロッコへの旅に。
南スペイン、コスタデルソルに2週間旅した時、1日旅行ということでツアーに参加したのです。
主催はスエーデンの旅行会社でガイドはスエーデン人。
まず、言われたのがモロッコはヨーロッパではない・・・要するにもろもろのことに対しての注意事項だったのです。
彼の会社主催で以前、現地へのツアーでデンマークから参加した新婚さんの奥さんがツアー中にいなくなって、旦那さんがツアーが終わった後もそこに残って探したけれど見つからなかったとか。
実際、そんな怖い話を聞いた後では現地では狭い道をそのスエーデンのガイドさん、そして現地のガイドさんのすぐ後をあまり辺りも見ないで必死で歩くことしかできませんでした。
モロッコを離れるまで生きた心地はしなかったというのが私の本音でした。
歩いている道幅は正味1メートルあったかどうか、行きかう人々と袖を触れ合う・・・まさにそんな感じでした。
そして、私にとって何より怖いと思えたのは道の両側に頻繁に見えていた両腕のない人たち。
彼らの着ている縞柄のアラブ服がその感情をますますつのらせていました。
我々ツアーのグループは13人、ガイドさんを入れても15人。
2人ずつ並んでは進めない道、1人ずつしか歩けなかったのです。
あんなところでナイフを突きつけられたら一番後ろの人は絶対にどうにもならないだろう、と私は思わずにはおられませんでした。
両腕のない人たち…どういう事か分かりますか？
彼らを見た瞬間、私はすぐに日本で読んでいたエジプトについての本、ハムラビ法典を思い出したのです。
本に曰く：
「物を盗むと左手を切り落とされる、それでも、また、盗みを働くと、次は左足、そして、次は右手、右足・・・」と。
私が目にした人たちは足ではなく両手でした。
それは便宜上そうしたのだと思いました。
失くすのだったら足より手の方がまし？
彼らは道の両脇で何を考えて立っていたのでしょうか。
ハムラビ法典は過酷、体に課する刑が多かったそうです。
手を切ってしまっては盗人に改心の機会を与えない・・・そう思いませんか？
目には目を、歯には歯をと言うハムラビ法典ですが、過酷な砂漠の地であるからこそ出来上がった法だと思います。
彼らの住む部族内の誰かが他の部族の誰かに殺されたとすると、その殺人者をとらえて殺すのではなく、その者の部落内の誰でもいいから捕まえて殺す、それが彼らの法だとありました。
その過酷な砂漠の生活を存続させていくには、殺人者云々ではなく数を保つという法則が働くのだそうです。
欧米、あるいは日本で理解できるような事ではないと思います。
そんな理屈が生きているアラブを相手では、西洋の理屈で付き合ってもうまくいかないのは当たり前だと思いませんか？
そうそう、私が読んだその本の中には未婚女性が、love affairに対する法を犯し、自分の父親によってナイル川に沈められる、という刑が行われたと載っていました。
40年ほど前、少し似たようなニュースが報道されていました。
新聞には処刑の写真がありました。
サウジアラビアでさる高貴な女性が不倫をした・・・相手の男性と公開処刑されたという記事でした。
男性は首を切り落とされ、女性は銃殺でした。
ただし、記事は続けて、女性の方は頭からすっぽり真っ黒なチャドルを着ており、実際のところは本人かどうかはわからない、本当は貧しい女性の家族にお金をつかませて身代わりにし、本人はどこかで密かに生きているかもしれない、とありました。
アラブの国々の文化とそう直に接することもないですよね。
と、行ってもアラブの人たちも同様な感慨を持っているかも…。
モロッコに行った時も、私のためにツアーはいつもより遅れた、と聞きました。
どんな問題か未だに分かりません。
国境、入国検査の所で私ゆえに時間がかかったのです。
夫やほかの客（ほとんどが年金生活者、と言った人たちばかり、私たちがまあ若いだけでした）は問題なかったのですが、私だけグループから離れ、管理窓口にガイドさんと行かなければならなかったり・・・。
その時、ガイドさんから言い渡されました「何も喋らない様に」と。
入国管理のオフィサーは単に日本人に対して物珍しさから・・・と思ったのでしょうか。
結局、単にその人の個人的な感慨から？
こんなわけで、国と国とがかかわる問題では一概に一方的な意見は通らないと思います。
日本は単一民族国家で均質的なものの考え方をする・・・それに慣れてしまっていると思います。
政治家たちはしっかりどう対処すべきか勉強してもらわないと！
