福祉国家ノルウェーのsenior citizen

新しい屋根のためにお金は払えない、困った時のためにお金をためているから、ですって。

政府が言っているのです。
We're saving for a rainy day.とは困った時のために貯蓄する、という意味です。

「年寄」という言葉を使おうかと思いましたが、これは私としてはあまり好きでない言葉。

「高齢者」じゃあ、私の感覚では「年寄」よりももっと年がいっている、と思えるのですが、どうでしょう?

で、senior citizenと書いてしまいました。

辞書で実際の意味はどうなっているのかみたら「高齢者」と載っていました。

むっときます。

今日はノルウェーの高齢者への福祉政策、年金などについてお話したいと思います。

私が住んでいた時は、65歳から年金は支給されていました。

何年前だったのでしょうか、変更され、今は、68歳からになっています。

年寄りたちはまあそう贅沢をしなければ暮らしていけるだけの年金をもらっています。

日本円に対してのレートの関係でこれだけ、とはっきりは言えないのですが、ノルウェークローナが強かった時には年数百万円か、と思ったこともありました。

前回の記事のように病院代などは無料、そして、時には遠足なり旅なりに出かけてください、というわけで月に数万円のタクシー代が支給されるようです。

義母がまだ存命だったころ、妹と訪れた時には、彼女がタクシーで私たちを近辺の観光に連れて行ってくれました。

そんなお金を月8万円もらっていると聞きました。

年よりだけでなく病人、あるいはハンディキャップのある人たちにも手厚い福祉政策があります。

家庭で誰かがハンディがあり寝たきり、一生働けない、などという事があっても、その人たちには生活の上で不自由なく暮らせるよう援助金がおります。

また、無論、その人たちの介護等には一切費用が掛からず、しかもその人の配偶者でも母親でも、とにかく誰かその人の世話をする人に「その仕事用」のお金が支給されます。

義母が亡くなる前、2,3か月病院にいたのですが、その看護やらで先ほど記述の義兄の奥さんはその「お仕事の」お金を申請し頂いたと言っておりました。

だから、日本の様に介護のために仕事をやめなければならない、介護で疲れて共倒れ、時に殺人、などということは聞いたことがありません。

北欧はご存じのように日照時間が少ないです。

そのために病気を発症してしまう人もいます。

すると、南の国に行って療養しなさい、と国から費用が出ます。

夫は2,3年前からノルウェーの年金をもらっています。

実は私ももらえるはずだったのですが、その年になって申請しようとしたら政策が変わってしまっていて条件を満たしてないから、ダメと言われました。

帰国する時に管理事務局に行って時期が来たらいくら支給されると計算された書類をもらっていたのですが、その段階でそれはただの紙切れになりました。

外国人で受給できるのはノルウェーに20年以上住んでいるか、5年以上そこで仕事をしたことがある者だけですって。

それなのに、夫が年金をもらえるという時になり、申請書を出すと、今現在の私の収入とかも計算して(関係ないと思いませんか?)夫はいくら受給されるか書類がきました。

これは毎年、申請書につけて出さなければならないのか、夫は最初の時にしかそうしていなかったようで、先日届いた書類なんてその申請がなかったので勝手に私の昨年の収入を500万円(そんなにあるはずないでしょうが!)と計算して夫の年金を算出した、と言っていました。

その分、夫の年金額が減らされているという事です(ただし、足らなかったら増やす、という事も言われています)。

夫は言っています。

彼らのやり方はいつもそうだって。

夫のお兄さんも自営だったのですが、べらぼうな税金を払え、と言われて拒否したら、車(大型のベンツのバン)を持って行かれてしまったとか。

で、しょうがないから(なかったら仕事ができない)、言われているだけの税金を渋々払ったというわけです。

その後、どうなったと思います?

お兄さんはそんなことがあった年内に健康を害し仕事を辞めましたが、実際以上の収入があると言われ、それに対する税金を言われるままにしょうがないから払った結果、その税に見合った年金が算出されたわけで、今じゃあ、相当高額な年金をもらっているという事です。

もしかの時には私も夫の60%の年金を頂けることになっているのですが、この数値は日本も一緒でしょうか。

で、ここでおかしいのは私は仕事をしていないにしてもノルウェー在住の時、夫を支え、それから以後(あと3年で金婚式です)も同様に支えてきたと思うのですが、夫の友人(ドイツ人、夫の元同僚、今はドイツに住んでいます)の奥さん(どちらも再婚同士)は結婚して数年にもかかわらず、ノルウェーに住んだこともなくても、もしかの時にはその友人の60%の年金を支給される事・・・。

ノルウェーも様々に矛盾したことがある国です。

私が住んでいた時もすでに相当数のパキスタン人、出稼ぎの人がいました。

彼らは国に帰って奥さんを連れてノルウェーに戻ってきます。

そして、彼らの子供たちは、もはやノルウェー人なのです。

生まれた時から手厚い福祉のもとで生活することになります。

シリヤやあちこちの国からの難民も受け入れています。

東欧の出稼ぎの人たちも随分増えています。

彼らもその福祉のもとで生活しています。

ノルウェーはそんなわけで髪の色、肌の色の違う人たちが随分と増えています。

ホテルで話しかけてもノルウェー語が通じない…私の経験はポーランドの人でした。

ノルウェーの古き良き時代(私が暮らしていたころでしょうか)を知る年寄りたちは言っています。

ノルウェーは嫌な国になったと。

福祉が最高でも、住民は不満を抱えています。

長くなってしまいました。

若者たちの福祉のことは次に回します。