slaves奴隷について

私が20歳のころ我が家にフランスからお客さんがあり、2週間ほど滞在しました。

彼女と様々な話をしたのですが(当時の私の英語力を考えるとよくもまあ・・・と思いますが、なんでも、いざとなると何とかなるものですよ)、その一つが奴隷についてでした。日本では奴隷のことなど深く考えることは誰もまずないと思うのですが、どうでしょうか。彼女との話でそんな話が出てくるとも私は予想もしていませんでした。

彼女に聞かれた言葉は「日本には歴史を通して奴隷制度なんてなかったんでしょ」でした。そんな短い滞在期間の間に話すようなトピックでもない様に思いましたが、今なら理解できるような気がします。

その後、世界の歴史などを深く学ぶに至り、奴隷と言うものは日本人が常識的に知っている以上に深刻なものだという事が分かってきました。ヨーロッパでは昔から根差していた、心のどこかにある話題なんだと。

私のオーストラリアの友人のおばあさんは奴隷だった、と言っていました。彼女はオーストラリア近辺の島の土着の人だったのだとのだと思います。と、いう事は植民地にしようとやって来たイギリス人がその島のみなを奴隷にしてしまった、ということかと私は考えてしまいました。

奴隷と言えば、アフリカ大陸から有無も言わせずアメリカ大陸に連れて行かれた黒人たちのことを一番に思いつくかもしれません。しかし、ヨーロッパでは、奴隷と言う制度は新大陸が発見されてから急にできあがったものではありません。古代からえんえんと続いていたのです。つまり、新大陸で多くの労働者が必要だからと急に黒人を捕まえて奴隷にしようと思い立ったことではなかった、ということです。

奴隷のslave自体、もともとの語源はSlavスラブで、つまり、奴隷が足らなくなるとスラブ(東欧)まで奴隷集めに行っていたということから帰来しています。

slaveは酷使して働かされる、という意味の動詞にもなっています。

古代、奴隷を持つという事が制度化される前は戦いなどで捕らえた人間を食料として

「保管」していたのが、食糧事情が良くなり、人間を食べなくても良くなった、そして、彼らを田畑で働かせた方が様々な意味で利得がある、と判断するようになった。それが奴隷制度の始まりです。

古代、戦争で負けた人々はすべて奴隷にされました。奴隷の命など微塵ほどの価値もなく、歴史の中でギリシャ、ローマ時代、ご主人様が危害を加えられようとしているのに何もしなかったその家の奴隷たち400人すべてが殺されてしまった、という記録がいくつも残っています。

奴隷と言うものはそのようなもの、と考えると、その後の歴史上で黒人奴隷たちがどのように扱われたか理解できると思います。

なお、新大陸に送り込まれた黒人奴隷たちには迷惑な話でしたが、余りに酷使されているインディオたちの惨状を見るに見かねたあるカソリックの神父(スペイン人だったと思います)が、黒人ならそんな過酷な重労働でも耐えることができるだろうとアフリカの住民をアメリカに送っては、と提案したのが始まりでした。

彼も、その先、黒人たちがあれほどひどい状態に置かれるとは思ってもみなかったでしょうが。