discrimination 差別とは
この絵は宗教を理由に人を解雇している図です。
私は差別されることも無論のこと、することにも嫌悪感を感じます。
海外に住んだ時、海外を旅した時、様々な差別を感じました。
夫が外国人であることは日本人同士での結婚とは、また、違う差別を感じたりもするのです。
さて、十数年前、イタリアに旅した時の事、ナポリで起こったことが今日の話題です。
そこで経験した事は誰かが何かを言ったということではない、それでも、言葉には出さなくとも、そこには純然たる人種差別がありました。
ナポリで数泊した時のこと、街行く人の着ているコートが気に入ったと夫はそれを見つけると、即、買ったのです。
その冬、人気のデザインだったのか、すぐに見つかりました。
そして、すぐに着衣すると町の中に出かけたのです。
次の日は列車で南に下り、シシリア島に行くことにしていたので、その足でまずは駅に行きました。
夫は切符を買うために列に並びました。
私は列から離れて見ていたのですが、すぐに何か異様な雰囲気の二人が私の隣に立っていることに気がつきました。
ナポリでは多くの私服警官が町を守っているとは聞いていましたが、そんな様子の二人が私の隣に立っていたのです。
どういう事か分かりますか?
私を尋問するため?
いいえ、彼らの目は夫に注がれていました。
私にはなぜかわかっていました。
想像つきますか?
夫は寒がりです。
彼はナポリでニット帽を買ったのですが、例のコートを着衣し、ニット帽も被った夫の姿はナポリの街中を闊歩している何人も見かけた黒人そのものでした。
夫は彼の背後でなにが起こっているかなど想像もできなかったでしょう。
私服警官たちは夫のことを凝視していました。
もし、夫が怪しい素振りでも見せようものならすぐに捕まえようとスタンバイしていたのです。
駅で切符を買う黒人は珍しい?
いや、そんなことをするはずがないというのでしょうか。
用を済ませて夫がこちらを向いたとたん、振り返った途端、彼ら二人はお互いの顔を見合わせ、ほっとしたような表情をみせるとどこへともなく消えていきました。
私は人の心理、イタリアで黒人が置かれている立場、異邦人に対する心理を見たような気がしました。
人種差別とはそれほどのものなのでしょうか?
思い込みで「外側」が"that"だったら、すべて悪に思えるのでしょうか。
つまり、外が「黒人」だったら、すべて悪い、という事なのでしょうか。
私たち、アジア人に対する彼らの姿勢も同じです。
また、その旅の帰り道、今度は日本、福岡空港内のリムジンの中で、中年の女性が夫に関して発した言葉「きれいな眼ね」、「髪は染めているのかしら」がひっかかりました。
私は返事をしませんでした。
そんなことにどれほどの重要性があるのか、と思ってしまったのです。
女性は続けて「家の中で問題はないですか」と聞いてきました。
「はぁ?どういうことですか?」
私は聞いていました。
是じゃあ、世界中で人種差別が無くならないのは当たり前だわ、と思った瞬間でした。