フランスからのお客様 ワサビの話
ちょうど大阪で万博が催されていた時のことです。夏休みを利用してフランスから友人が来日し、我が家(実家は岡山です)に2週間ほど滞在していきました。
当時はまだ関西空港もなく新幹線もなく、朝一番の列車に乗って伊丹空港まで迎えに行ったのを思い出します。
彼女は岡山を後にしてからは岐阜、鳥羽、東京などを観光して帰りました。合計、1か月は日本にいたのでしょう。岡山に滞在していた時は、毎日、県内は無論のこと神戸、姫路などなどにも案内しました。でも、とりあえずフランス人が持っている日本に対しての固定観念はなくして帰ってくれたと思いますよ。
毎日、暑かった…で、彼女が一番に覚えた日本語は「暑い」でした。
彼女も私も22歳ころだったと思います。思えばあれから年をとった・・・。
さて、彼女を交えたある日の昼食のお話です。
レストランでおそばを食べることになりました。彼女がbuck-wheat noodleおそばを食べるのはその時が初めて、見るのも初めてだったと思います。
おそばを目の前にして、おそばとワサビのコントラストが実においしそうに見えたのでしょうか。
彼女は、まずはぱくっとワサビの塊を口の中に入れてしまったのです。
私には止める暇もありませんでした。彼女は叫んでいました。"Fire!"と。
私の当時の英語力ではちゃんとした説明もおぼつかない状態。とにかく彼女のお箸へ…という動作の方が速かったわけです。
そして、私はのんきなことに「そういう時にはFire!と言えばいいんだ」なんて英語の勉強に入っていました。
今もワサビ、おそばを見るたびにそのことを思い出します。
ワサビは英語でhorse-raddishと言います。彼女はマジパンくらいに思ってしまったのかもしれませんね。もっとも、当時、私はまだマジパンと言うものを知りませんでしたが。
ヨーロッパ人の味覚はマイルドです。ノルウェーには胡椒以外のピリピリする香辛料はありません。