Tora 愛猫トラ
ノルウェーに住んでいた時のことです。
私がノルnウェーに住むようになって4年目くらいだったと思います。
初めて猫を飼う事になりました。
もらいたいと新聞広告を出しました。
それでもその費用が必要でした。
日本じゃ無料かな、と思いますが。
小さな黒い子猫がやってきました。
よーく見ると縞があったので、無理やりトラと名付けました。
とにかく私としてはトラという名前の猫が欲しかったのです。
Toraってノルウェーでは女性名です。スペルも同じです。
夫の叔母の一人にもその名前の人がいましたが、気にしませんでした。
優しくて賢いいい猫でした。
近所の子供たちのいい遊び相手で、しょっちゅう彼らは「貸して」とやってきては数時間持って行ってしまってました。トラにはいい迷惑だったかも。
女の子たちが借り受けていくと、帰ってきたトラは香水のいいにおいをさせ、目や口には化粧を施されていました。
9歳とか10歳の子たちがほとんどでしたが、お化粧に興味を持ち始める、自分たちもトライし始める、そんな年頃の子たちだったんでしょうね。
彼らは私と同じ慎重化ちょっと低いかな、って感じでしたが、その後あっという間に私なんかより大きくなっていました。
さて、そのトラを連れて私たちは北極圏の町へ引っ越したのです。
トラにとっても新境地だったのは確かです。
10月になると毎晩、マイナス30度には下がってしまう地、12月になると2回もマイナス42度を経験しました。
昼間でさえそうなんだから夜はもっと冷え込んで氷の世界だったと思います。
まさに、この絵の通りの光景を私は何回も見たのです。
真っ白な氷と雪の世界の中へとトラは毎晩消えていきました。
月の明かりの中に尻尾をまっすぐ伸ばし家から歩き去っていくトラの姿は王者の風格がありました。
夜の森の中で遊びまくっていたのだろうと思います。
夜のお出かけは欠かせませんでした。
Karasjok(住んでいた町です)での家は玄関は二重ドアで、外側のドアは氷ついて分厚い氷が張り付き閉まらなくなったりしたこともありました。
それでもトラは平気でした。
朝帰りのトラのしっぽはすごく膨れて(外で用足しをしたのが、即、凍り付いたのだと思いました)、コミカルでした。
やはり凍えていたのか、牧とオイルを燃やしているストーブの上にすぐに飛び上がって暖をとろうとしました。
熱いのですぐに飛び降りたのは言うまでもないことです。
ノルウェーの猫ってやはり寒さに強いのでしょうね。
日本に帰ってくるとき、連れて帰らなかったのが残念です。
あの頃は、もっと簡単だったようです。
猫は帰国しても検閲所に入らなくてよかったとか、後で聞きました。
帰国の飛行機の中、ドイツから帰国している若いご夫婦にあったのですが、彼らは犬を連れていました。
日本に帰ったらまずは検疫所に入らなければ、とか聞きました。
それにしても、その愛犬(乗客にとってみんなの愛犬て感じでした)は飛行機の通路の真ん中に陣取り私たちもずっと楽しい、て感じでした。
古き良き時代ですね。