手掴みでの食事
フランス料理と言うとエチケットにうるさい料理だと思いますが、フランス人は18世紀まで食べ物を手で掴んで食べていました。
ヨーロッパ人てやたらとヨーロッパの外のことを野蛮だと決めてかかっていますが、フランスにフォークやナイフが広まったのは、ほんのこの間、18世紀からですって。
それらがフランスに持ち込まれたのは16世紀にイタリアのメディチ家からカテリーナ・メディチがアンリ2世に嫁入りした時に、花嫁道具の中にフォークが入っていた・・・それが初めてですって。
当時、ヨーロッパで、最も進んだ料理や食事技術を持っていたのがイタリア人。彼らにとってフランス人の食事風景は非情に野蛮と映ったのでしょうか。
当時のフランスにおいては食事の時に料理を切り分けるためのナイフは以前からあったものの、フォークはなかったということです。
スープや粥と言った食べ物にはスプーンを使ったけれど、スープが入ったボールには1本のスプーンが添えられているだけ。大勢の人たちがその1本のスプーンを回しながら使ったのです。
メディチによってフランス宮廷にもたらされたフォークは、その後、徐々にフランス貴族の間に浸透していきましたが、それが定着、と言える状態になったのはやっと18世紀になってから、庶民に広まったのはフランス革命の後ですって。
そして、フォークを持ち込んだイタリアにおいてもフォークが食事に使われるようになったのは13世紀末のことで二股フォークだったそうです。
ヨーロッパの北の端、ノルウェーでは、現在でもファッションの流れ一つとっても南ヨーロッパより遅れています。フォークが一派に広まっていったのはフランスよりはるか後だったと思います。
ところで、二股に分かれている道もforkと呼ばれます。
フォークの登場はフランス料理にもちょっとした革命を起こしていきました。
フォークの登場で人々は、それまで指で掴むことができなかった熱々の料理を食べることができる様になったのです。
テーブルクロスで汚れた指を綺麗にすることはマナー違反ではなかったのですが、フォークによりテーブルクロスの汚れも少なくなり、かなり衛生的に食事をすることができる様になったというわけです。
しかし、信心深いキリスト教徒たちにとって神が与えてくれた指を使わずに食事をすることは神をないがしろにすることではないか、という議論も起きてしまったとか。
食文化て本当に様々です。手を使って・・・などというと何か野蛮に聞こえますが、日本だっておにぎりは手で、時にお寿司だって手で食べますものね。